海底温泉水の記憶

生命の本体は水である

進化の果てに陸で生活するようになった生物の“末裔”である私たち人間も、前回のブログでふれた、深海のミネラルに富む海底温泉水の環境下で誕生した(という可能性がきわめて高い)原始生命体の生命情報を受け継いで生きているのです。

私たち人間の体が海水と同じようなミネラル組成の水でできているということは、今では多くの人がご存知でしょう。そのことも、地球最初の生命体が上記の海底温泉水のような環境下で誕生したという生命情報を受け継いで生きている一つの証左に思えてなりません。

私たちが、精子と卵子が合体した一つの受精卵であったとき、全体の90数%は水だといわれています。それが2個、4個、8個・・・という具合に細胞分裂し胎児となり、母親の胎内で成長して生まれ出た新生児のときには、体重の実に70数%が水。やがて大きくなった子供では70%前後、さらに成長して大人になると男性が60%前後、女性は50数%、老年になっても50%前後が水なのです。

このように私たちの体の大半は水からできていて、生命の本体は水といっても過言ではありません。齢を取るとともに水の比率が減っていく。逆に、体から水分が減って、文字通り“みずみずしくなくなっていく”ことを“老化”というのです。

生命活動を取り仕切る酵素

ところで、私たち人間が生きていく上で欠くことのできないものの一つに酵素があります。消化酵素とかアルコール分解酵素といった名前をご存知でしょう。数千種類あるという酵素は、人が体の中で自ら作り出したタンパク質の一種で、生命活動を進めるためのさまざまな化学反応の謂わば“触媒”として働くものです。

実はこの酵素もミネラル豊富な水の中でしか活性化しません。鉄とか亜鉛といったミネラルを摂り込み水に反応して、食べ物の消化・吸収、アルコールの分解はおろか体内で発生してしまう活性酸素の消却や、遺伝子の複製、細胞膜の形成、ホルモンの生成といった人体に欠くことのできない生命現象を取り仕切っているのです。

私たちは水がなければ生きられない。
水が健康に生きるためのカギをにぎっているのです。

私たちは温泉に浸かると、誰しも「あ~ぁ」と気持ちいい感嘆の声が思わず口からもれ、ホッとし、リラックスできます。皆さんもご自身の体験を思い出してみてください。
温泉が湯治による療養や健康維持に利用されるのも、太古の海底温泉(のような環境)で最初の生命が育まれたという“生命情報”を受け継いでいるからにちがいない、と私は考えています。

カラダにいい水いい温泉

体にいい水の条件は、酵素が働くのに必要十分な、ミネラルバランスにすぐれた水であること。ヒ素・水銀・鉛・カドミウムなどの量が多いと有害な重金属や、農薬などの有害な化学物質、有害な放射性物質、水道水に含まれるような残留塩素(遊離塩素)といったさまざまな“問題”のない水であることです。

飲用できる温泉源泉水や市販のナチュラル・ミネラルウォーター(またはミネラルウォーター)は上記の条件を満たした水の典型ともいえるでしょう。

もちろん温泉の入浴効果については今更私がいうまでもありませんが、入浴の前後に上記の水を飲むことで、また浴後の過ごし方によって健康度がアップすることも判ってきました。

このブログでは、湯治効果にすぐれた温泉、飲用できる温泉源泉水、ナチュラル・ミネラルウォーターなどの「カラダにいい水いい温泉」を紹介します。

実際に生活の場面でどう利用し役立ったか、私が取材した、飲んだり入浴して健康にプラスになった人々の体験談(個人の感想)、研究が進んでいる水や温泉については同じく私が取材した医師や学者、研究者のコメントも公開するものです。

併せて、家での入浴や飲み水、それ以外の水の利用法、巷にあふれるさまざまな健康情報への“向き合い方”、私が実践する健康法についてもコラムで解りやすく伝え
ます。

みなさんがご自身で判断し健康に生き抜くための知恵をみがく一助にしていただければ幸いです。

水は生命(いのち)の母

地球最初の生命

著名人を紹介するのに、よく「何代も続く家柄」などという表現をすることがありますね。

これ、実は特別な人に限ったことではありません。読者の皆さんも私も、この世の全ての人々が紛れもなく「何代も続く家柄」の一員で、そうであるからこそ只今のこの瞬間に、こうして生きて存在していられるのです。

私たちには必ず両親がいて、その両親にもそれぞれに両親が存在します。その一人一人にも両親がいてという具合に遡(さかのぼ)っていくと、27代も遡れば(およそ800年余りの間に)延べ2の27乗(134,217,728)=1億3,4217,728人、日本の現総人口約1億2,625万4千人(2019年4月1日確定値)を優にしのぐ数の“親”なる人々がいたことが分ります。

これはもの凄い数ですね。もちろん27代にとどまらない。それ以前もずっと代を重ねてその人々が一人も欠けることなく生命を伝えてきてくれたお蔭(かげ)で、いま私たちは生きていることができるのです。

さらに遡(さかのぼ)って、人類に到達した生物進化の過程も辿(たど)っていく。オスが登場して雌雄両性で生命を伝えるようになったのは高々10億年前から。それ以前はメスしか存在せず、メスだけで生命を伝えてきたといいます。さらにさらに遡れば究極、地球最初の生命体に行き着きます。

NASA

現代の科学では、およそ38億年前の地球に最初の生命が誕生したと考えられています。当時の地球には隕石が大量に降り注いでいたことが分かっている。彗星の衝突もあったでしょう。それらの多くには鉄や炭素が含まれていて、地球との衝突の際に炭素や窒素が還元され(窒素が水素と化合してNH2できるなど)アミノ酸が合成されることも明らかになっているそうな。

生命誕生の起源については、過去にこんな実験がされています。

  アメリカ人化学者のスタンリー・ロイド・ミラーは、シカゴ大学の大学院生だった1953年、指導を受けていたハロルド・ユーリー(1934年「重水素の発見」でノーベル化学賞受賞)の研究室で、ガラス管に封じ込めた、原始地球に存在したと考えられるメタン、アンモニア、水素からなる気体に水蒸気を送り込み火花放電させる実験を行いました。

 すると一週間後、そこには生命の元となるタンパク質をつくるのに必要な二種類のアミノ酸、グリシン(C2H5NO2)とアラニン(C3H7NO2)ができていたのです。

この実験は二人の名前を取って“ユーリー・ミラーの実験”とよばれ、原始地球の環境下で有機物(アミノ酸)が生成される可能性を示した、最初の実験といわれています。

海底温泉水が“究極の母親”だった

メタン、アンモニア、水素などは原始の海洋の海底火山の噴泉の中にも当然存在したと考えられる物質です。そこで、深海の海底温泉ともいうべき環境下で、ミネラル豊富な水に雷の放電や紫外線などが作用してバクテリアのような地球最初の生命が生まれた、という説も唱えてみたくなりますね。

前述のミラーが行った実験の続きのような実験が、我が日本で行われています。

日本の生命科学のパイオニアとして世界的にも知られた三菱化成生命科学研究所(1971~2010)では、原始の海にあったと考えられる数種類のアミノ酸を水に溶かし、それを高圧釡に入れて、深海の環境に近い250℃、130気圧にして約6時間おいたところ、直径2ミクロンほどの細胞状の物質ができたということです。これが原始生命体の細胞膜にあたるものと考えられています。

興味深いことに、実際にいま現在も、海底火山の噴泉の中に生きている、所謂“生命体”が見つかっているのです。

1979年、アメリカの潜水調査船アルビン号が、メキシコ沖の深海2600メートルの海嶺(海底山脈)にある熱水鉱床を調査したとき、二枚貝やカニなどの群れを発見しました。

なぜ、光もまったく届かず、それゆえ海藻なども育たない深海底に生物の群れが生きていられるのか?

調査チームが詳しくその場所を調べたところ、

 350℃、260気圧という海底火山の噴泉

の中に、硫化水素や二酸化炭素、硫黄・鉄などの金属ミネラルを取り込んで生きるバクテリア(シアノ・バクテリア)が生息していることがわかりました。

深海底の熱水噴出孔(by Google)

このバクテリアを食べることで、そこにいる生物たちも生きていたのです。

原初的なバクテリアを生み出し育む噴泉。これは海底の温泉水と言ってもいいものでしょう。この海底温泉水こそは地球の生命の一つの源、“究極の母親”だったのです。